誕生日ってのは1年に1回の特別な日であって、たとえ前日の部活がとてもハードで(だって聞いてくれ新学期は顧問が張り切るからほんとしんどいんだ)、更に次の日の起床時間が早いのだとしても。
それでも、お前に一番に祝ってほしいから。
■ ■■パステルコール■■ ■
4月23日、午後23時50分。
俺はそれこそ、部活の公式試合の時並に緊張してる。
明日は俺の誕生日だって、なぁ。
獄寺、知ってた?
静まり返った部屋で悩みに悩んだ結果、携帯を握り締めてベッドに座った。
「…獄寺、俺の誕生日なんて知らねーよな…」
出会って約1年。
獄寺のことを理解すんのには十分な時間だった。
アイツは俺のことどっちかっつーと嫌いだし、他人の、いや、自分の誕生日すら忘れてたんだ。
(ツナに対してだけは全力で祝ってたけど、)そんな獄寺が俺の誕生日を祝ってくれるとは到底思えない。
だからって俺から「祝って」とか言っちまうのはなんかかっこわりぃじゃん。
携帯を開く。
必死にせがんでやっとこさゲットした獄寺の携帯番号をアドレス帳から引っ張り出した。
俺からは誕生日の話題は持ち出さない。
もしかしたら、もしかしたら万一に獄寺が自分から俺の誕生日を祝ってくれるかもしんねぇし。
可能性うんぬんは考えずに通話ボタンを押した。
だって可能性とか考えるの難しいだろ。
プルルル…
プルルル…
「あ、ごくで
ブチッ
ツー…ツー…
考えるまでもない、可能性はゼロだった。
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