久しぶりに会った伍長は、雪に埋もれかかっていた。
今の大佐に過去の面影は無い。
それでも俺はこの人に対して、ずっと同じ感情を抱き続けている。





■ ■■傷■■ ■





大佐は俺を見つけると直ぐに中に通してくれた。
向かい合わせにソファに腰を降ろす。
ここへは必ずアルフォンスを抱いてから来ている。
それをせずにここに来れば、大佐に手を出してしまいそうだから。
それほどに大佐が愛しい。
アルフォンスには酷でも、大佐を傷付けるよりはマシだと思った。

「大佐、また少し痩せましたね」

身を乗り出し頬に触れると、苦笑がちに俺を見る。

「敬語はやめて下さい、私は伍長です」
「俺の勝手だ」

短く返すと黙り込んだ。
寒さで紫がかっている大佐の唇を指でなぞる。
右目だけでじっと俺を見ていたが、ピクリと左眉を潜めた。

「傷が疼くんだ」

怪訝そうに見つめたせいか、俺が口を開く前に答えが返ってきた。
俺は無意識に大佐の眼帯を解き、傷口に舌を這わせた。

「…ッ」

小さな唸りに心臓が高鳴る。
このまま大佐を俺のものにできれば、どれほど幸せか。
愛撫により痒みが柔和されるのか大佐の制止がかからなかったので、暫くの間俺は夢中で大佐の傷を貪った。


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