君はいまだ連絡もよこさないでいる。
私を不安にさせて楽しいのだろうか、それとも心配してほしいのか。
どちらにしろ―、
「会いたい、な…」
呟いた言葉とともに吐いた息が、白くて、虚しい。
■ ■■風花■■ ■
季節は冬。
鋼のはまだ戻ってくる様子がない。
辺りは雪一面だというのに雪は止むことを知らないようだ。
このままずっとここで立っていると埋まってしまうんじゃないか、といつも心配になる。
更に、今日のように空気の冷たい日には、使い物にならなくなった私の左目が疼く。
君に舐めてほしいと願うのは、無謀な事だろう、今は。
「東の方の国ではさ、雪のことを“かざはな”っつって花に例えるらしいぜ」
最後に君と会った日も、雪だった。
「ほう、なかなかロマンのある事を言うな」
浅く積もった雪をさくさくと踏み締めながら、歩く。
繋いだ手は私のポケットの中にあった。
冷えきったお互いの手を温めるのには丁度良くて、心地好い。
雪はしだいに少しずつ落ち着き、ゆるやかに降り始めた。
散りゆく雪が、風に吹かれて舞う花びらのように見える。
ぼんやりしていると、遠くから人影が見えた。
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