体が怠い 頭がねじ曲がる様
久しぶりに味わったこの感覚
心音と共にズキズキと痛む頭
体全体が心臓になったかの様だ
■ ■■風邪薬■■ ■
「大佐、大丈夫か?」
コトと机に粥を置いて心配そうに顔を覗き込んだのは、私の可愛い可愛い恋人。
頷く気力さえ残っていない私は、苦笑を帯びた微笑みを彼に向ける。
39.6度。我ながら、よくもまあこんな高い熱を出せたものだと笑ってしまう。
きっと昨日の突然の雨がいけなかった。
傘を持っていなかったが、家まで直ぐだと思ってそのまま走って帰ったのもいけなかった。
帰ったら疲れて、服も着替えずに寝たのもいけなかった。
あぁ、結局私がいけなかったのだ。
「からだ、拭こうか。熱いタオルで汗拭う?」
「先程拭いたばかりだから今はいいよ」
「そうだ、お粥。少しでも食おうぜ?」
「今食べたら確実に吐くな」
「なんか飲もっか、林檎ジュー「鋼の」
彼の言葉を遮り大丈夫だからと言えば、悲しそうに俯く金色。
「…だって、俺何の役にも立ててない。あんたの役に立ちたいのに」
「…可愛いことを言うね」
思わず言ったその言葉で、みるみる紅くなる鋼のの頬に笑った私を、彼は軽く睨んできた。
「うっせぇ。馬鹿は風邪ひかないって云うのに、あんたがこうなってるから動揺してんだよ」
「正解だろう?私は天才だ」
「言ってろ無能」
「無能…」
「だろ、馬鹿」
「…またいつもの鋼のに戻ったね。先程の甘い言葉は何処にいった、これじゃあ苦い言葉だ」
「知るか」
「せめて今日くらい、甘い言葉を囁いてくれたまえよ」
そう言うと彼は、フンと胸を張り首を横に振った。
「わかったんだ。俺として役に立てないなら、違う役になるまでってこと」
「…?」
訳がわからず首を傾げる私に、鋼のは何か問題を解決した様な爽快な笑みを見せた。
「俺、今日は薬になる。薬は苦いっていうだろ?
俺があんたの薬になってやっから、早く治りやがれ」
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06.02.10