彼の子守は、エドワードが司令部のロイの部屋に入った時から始まる。




■ ■■子守■■ ■



「よく来たね。これから戻って来たら直ぐに私の元に来てくれ。少しでも一緒にいよう」
久しく見ていなかった恋人、エドワードを招き入れてロイは紅茶を注ぎに立ち、エドワードはソファに腰掛け読みかけの本を開く。
「砂糖は」
「…二杯」
たったこれだけのやり取りで満足そうな表情を見せたロイに、紅茶を受け取ったエドワードは眉を潜めた。
「そんな顔するんじゃない。ただね、ここにいる間君は何も悪いことが出来ないだろう。 例えば何処かの町の物を壊したり」
「なに、それだけの為に呼んだの」
「まさか。それはただの口実にすぎないがね」

軽く笑いながら、山積みの書類を乗せた机に向かい仕事を再開させたロイを見て、エドワードは再び本に目を戻した。



「鋼の」
集中していたのであれからどれ位経ったのかはわからないが、おそらく相当な時間が過ぎたのだろう。
机の上はすっきりとしていて、窓の向こうでは既に日が落ちている。


「エドワード」
ギュと抱き締めれば、エドワードも抵抗せずに背中に腕を回した。
「君が大人しく本を読んでいてくれたから、早く終わることが出来たよ。偉かったね」
そう耳元に囁き、ゆっくりとエドワードの上に覆い被さった。



そうやって俺に甘えるなんて大佐は所詮こども
嬉しそうに乳首吸って俺はあんたのお母さん?
あんたは俺を下に見てる様だけど
中尉や少尉はわざわざ俺を呼んであんたを頼むんだ



腰を揺すられエドワードは思考を止めた。
目の前では、夢中で自分を喰う大きなこども。
エドワードは微笑みながら、優しくロイの背中を撫でた。


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06.02.06