―君を奪い去るその全てを凍て付く街に捨て、長い哀しみの終わる場所へ堅く手を繋ぎ駆けて行こう―
■ ■■舞花・白雪■■ ■
辺り一面に雪。
ここ最近はやむ事も知らずに降り続いている。
“もうすぐ春が来るのに”
いたる所で嘆きの言葉が囁かれる。
―終焉の鳥が
俺はそんな言葉に耳も傾けずにロイの体を揺する。
ロイはゆっくりと漆黒の瞳を開いた。
―高い空から時を告げ
「雪…」
目の前の白に眩しそうに目を細めた姿が愛しくって、優しく抱き締める。
「良かった…」
―閉ざされた世界で僕らはまた巡り逢う
やまない雪。
訪れない春。
アンタが悪いんじゃない、
アンタは何も悪くない。
この世界の全てはアンタに許しを請うべきなんだ。
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傍線から始まる部分は志方あき子さんの歌『花帰葬』より歌詞を引用しました。
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06.07.08